蒲生はな

鎌倉時代に栄西が日本へ伝えた点茶は、その後、足利幕府に受け継がれ、千利休の時代には今の「点前」の基礎が確立します。 「茶をたてる」、「てまえ」という言葉は、早い時期から使われており、当初は「立てる」「手前」と書かれていました。「点てる」「点前」と「点」の字を使うようになったのは、江戸時代後期からのようで、中国語の「点茶」を「茶ヲ点ズ」と読み下したことに由来しています。また、茶人としても有名な幕末の大老井伊直弼は「点前」と書いて「たてまえ」と読ませていたそうです。その後、しだいに、「点前」は、「てまえ」と読まれるようになり、一方で「たてる」には「点てる」という字が当てられました。その後、この使い方が、一般的に使われるようになったのです。 「茶を点てる」と「点」の字を使うようになったのは150年程度以前のことのようです。栄西が「点茶」を伝えてから800年以上という長い茶の湯の歴史の中では、「点てる」という言葉の用い方は意外と歴史が浅いと言えますね。